毒か薬か

基本的に週に一回の更新です。毒か薬にはなることを書きます。

2016-01-01から1年間の記事一覧

2016/11/20のフィロソフィーのダンス

フィロソフィーのダンスの1stワンマンライブが終了、そして23日には初の流通盤CDである1st album「ファンキー・バット・シック」が発売される。Twitterなどでは繰り返し書いている通り、フィロソフィーのダンスとは結成前のオーディションから関わり、今も全…

音楽作品と著作権とほんの少し印税の哲学(試論)

1:動機と構成 1.1時間を通じて存在する対象の存在論、または認識に関する問題が元々の研究課題であったが、音楽の知覚はその中でも興味深いものであると考えた。例えばそれが単なる物理的な音であるとして、我々が知覚するのはただ波の一部であってそれは持…

SFとして観る『君の名は。』(ネタバレあり)

『君の名は。』 ストーリーとして難しい話だった、という感想があるのを聞いて驚いたのだが、これだけ多くの人が見ているのだから、アニメでも映画でも定番であるタイムリープ、タイムパラドックスSFものを人生で初めてみたという人もいるのだろう。それはす…

J-POP恋愛論 1.2「Automatic」宇多田ヒカル(1998)

1998「Automatic」宇多田ヒカル(作詞・作曲:宇多田ヒカル) 前節では男性側視点、そしてロマンティスト的な視点としての恋愛の初期的段階の現れを見たが、もう一曲女性サイドの視点も考えてみたい。以降、男性と女性との間の恋愛観の違いなどというある意…

J-POP恋愛論 1.1「ラブ・ストーリーは突然に」小田和正(1991)

「ラブ・ストーリーは突然に」小田和正 (1991)(作詞・作曲:小田和正) 恋愛にははじまりがある。それはひとめぼれかもしれないし、相手からの突然の愛の告白かもしれないし、その形は多様だろう。いずれもそれは予期しないものであるから、恋なのであって…

J-POP恋愛論 1.0「恋愛の初期的段階」について

J-POPの楽曲から恋愛を取り出すにあたって、いくつか基本的に共有しておくべき事項があるだろう。もちろん、本稿全体で述べたいのは日本人的な(あるいはJ-POPのリスナー的な)恋愛のモデルが存在し、それを実証出来るというようなことではない。しかしなが…

J-POP恋愛論 0.3「各章の構造」

以下では、恋愛のいくつかの段階、あるいはいくつかの場面に応じて、それに対応した曲を恣意的に選択している。この選択に客観性を持ち込む必要はないと判断した。その中でも一応前提したこととしては前述通り、ヒットチャートから楽曲を選択した事である。…

J-POP恋愛論 0.2「恋愛とは何か」

前節でも書いたように、恋愛はそれを現象としてみればある文化的な枠組みのなかで表現されるようなものである。たとえば、現在では多くの日本人は結婚の前提として恋愛があると考えるだろう。しかしこれは歴史的に見れば異常な状況である。かつて結婚は、ほ…

J-POP恋愛論 0.1「J-POP」とは何か

さて、以下ではJ-POPの恋愛論を扱うが、果たしてJ-POPとは何だろうか。このような問題はこのような短い節ですべて書ききれるものではなく、それだけでひとつの論稿がかけるテーマではあると考えられるが、ここではあくまで以下の議論のために簡単な定義をし…

J-POP恋愛論 はじめに

以下ではJ-POPにおける恋愛について論じる。 J-POPの多くの楽曲の歌詞は、恋愛についての歌詞である。この点に関して詳しく統計をとったわけではないが、例えばCDセールスがピークだったと言える1998年の年間チャートトップ10を見ると、そのうち8曲はかなり…

本当に「私以外私じゃないの」か? vol.4

ずいぶんと間があいてしまったが、vol.4 この間に哲学的に自分の考えに大きな転回があったことも大きいが、前回までの議論を振り返ると 王様と農民の寓話において ①元々の心をもったほうが真に王様と農民である、といえる ②元々の体をもったほうが真に王様と…

本当に「私以外私じゃないの」か? vol.3

前回定式化した問題は さて、今回はポイントになっている心がいれかわってしまった王様と農民の寓話において ①元々の心をもったほうが真に王様と農民である、といえる ②元々の体をもったほうが真に王様と農民である、といえる ③それ以外 という主張のうちど…

本当に「私以外私じゃないの」か?vol.2

さて、前回あがった問題点は簡潔にいえば 「ある人が昨日と今日で同じ人であるといえる根拠はなんのだろうか」 ということである。ある日心が入れ替わってしまった王様と農民。そもそもこの書き方をしている時点で、心か体か、どちらかはあきらかに「元々」…

本当に「私以外私じゃないの」か?vol.1

自己同一性の問題は、思想史的にも重要な問いの一つである。 例えば、以下のような寓話を考えよう。---あるところに、王様と農民がいた、農民は王様のような裕福な生活を望んでいる、王様は農民のことはよく知らないが普段の生活に退屈している。ある朝、農…