毒か薬か

基本的に週に一回の更新です。毒か薬にはなることを書きます。

2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

J-POP恋愛論 1.2「Automatic」宇多田ヒカル(1998)

1998「Automatic」宇多田ヒカル(作詞・作曲:宇多田ヒカル) 前節では男性側視点、そしてロマンティスト的な視点としての恋愛の初期的段階の現れを見たが、もう一曲女性サイドの視点も考えてみたい。以降、男性と女性との間の恋愛観の違いなどというある意…

J-POP恋愛論 1.1「ラブ・ストーリーは突然に」小田和正(1991)

「ラブ・ストーリーは突然に」小田和正 (1991)(作詞・作曲:小田和正) 恋愛にははじまりがある。それはひとめぼれかもしれないし、相手からの突然の愛の告白かもしれないし、その形は多様だろう。いずれもそれは予期しないものであるから、恋なのであって…

J-POP恋愛論 1.0「恋愛の初期的段階」について

J-POPの楽曲から恋愛を取り出すにあたって、いくつか基本的に共有しておくべき事項があるだろう。もちろん、本稿全体で述べたいのは日本人的な(あるいはJ-POPのリスナー的な)恋愛のモデルが存在し、それを実証出来るというようなことではない。しかしなが…

J-POP恋愛論 0.3「各章の構造」

以下では、恋愛のいくつかの段階、あるいはいくつかの場面に応じて、それに対応した曲を恣意的に選択している。この選択に客観性を持ち込む必要はないと判断した。その中でも一応前提したこととしては前述通り、ヒットチャートから楽曲を選択した事である。…

J-POP恋愛論 0.2「恋愛とは何か」

前節でも書いたように、恋愛はそれを現象としてみればある文化的な枠組みのなかで表現されるようなものである。たとえば、現在では多くの日本人は結婚の前提として恋愛があると考えるだろう。しかしこれは歴史的に見れば異常な状況である。かつて結婚は、ほ…

J-POP恋愛論 0.1「J-POP」とは何か

さて、以下ではJ-POPの恋愛論を扱うが、果たしてJ-POPとは何だろうか。このような問題はこのような短い節ですべて書ききれるものではなく、それだけでひとつの論稿がかけるテーマではあると考えられるが、ここではあくまで以下の議論のために簡単な定義をし…

J-POP恋愛論 はじめに

以下ではJ-POPにおける恋愛について論じる。 J-POPの多くの楽曲の歌詞は、恋愛についての歌詞である。この点に関して詳しく統計をとったわけではないが、例えばCDセールスがピークだったと言える1998年の年間チャートトップ10を見ると、そのうち8曲はかなり…

本当に「私以外私じゃないの」か? vol.4

ずいぶんと間があいてしまったが、vol.4 この間に哲学的に自分の考えに大きな転回があったことも大きいが、前回までの議論を振り返ると 王様と農民の寓話において ①元々の心をもったほうが真に王様と農民である、といえる ②元々の体をもったほうが真に王様と…